自分が読んでみて大変面白かったライトノベル(ラノベ)をご紹介。
今回は「その3」。
『RE:異世界から帰ったら江戸なのである』です。
目次
異世界から帰ったら・・・
転移してしまった異世界から、現代日本に帰るはずだった主人公が、何かの手違いで江戸時代の日本に帰還。
「異世界から帰ったら江戸なのである」
まさにタイトルどおりの状況から物語は始まります。
あらすじ
以下、出版社による1巻のあらすじ。
魔法のあるファンタジーな異世界から、現代日本にようやく帰ってきたと思ったら江戸時代だった九子。
やむを得ず江戸で暮らすため、魔法の力を天狗の妖術だと名乗って蕎麦屋の主、六科の元へ居候になることに。
生活のため蕎麦屋を繁盛させ、悪党を退治し、時に男たちから助平な目で見られ、江戸の美味と酒を楽しむ女天狗の日常物語。
ラノベには珍しいストーリー
昨今のラノベは、似たようなストリー展開が多々あって、いささか食傷気味の人も多いと思います。
ですが、本作品では主人公「九子」さんが異世界から帰還した所から始まります。
こういうパターンは珍しいですね。
時間軸の食い違いでしょうか?
意図せず帰ってきた時代と場所は江戸。
時は享保年間。
八代将軍「徳川吉宗」の治世です。
主人公は、江戸に住む蕎麦屋の亭主と知り合い、そこに居候します。
もう一つのひねり
また、作者はこの作品にもう一つのひねりを入れてます。
それが「女体化」。
主人公は元は男性であったものの、異世界で魔術により女性に変換されてしまいました。
外見は女性なのに、中身はオッサン。
これがさらに物語を笑える珍妙なものにしています。
章ごとにストーリーが完結する構成
主人公は、異世界で身に付けた魔術を駆使し、料理の知識や経営コンサル的才能で、居候先の蕎麦屋(助屋)を繁盛させます。
その合間に悪辣な旗本や強盗を成敗したり、新たな料理や商品を開発したり、血に飢えた某同心と死闘を繰り広げたり、様々な人と出会ったり、等々等。
全体に起承転結があるというよりは、章ごとにストーリーが完結する構成になっています。
江戸の女天狗
また、主人公は魔術を普段の生活でも活かすべく「天狗」と自称します。
特技は、空中浮遊・透明化・体調回復・力の増強、など。
あと、水・氷・炎・雷などを自由に作り出すことも出来ます。
さらに、異世界でもらった魔法の長太刀も活躍します。
これが戦闘以外に、何故か釣りの道具代わりに使われたり、借金のカタになったりもします。
様々な個性的キャラ
女天狗「九子」さん以外にも、様々な個性的なキャラが登場します。
居候先の寡黙な蕎麦屋亭主「六科」、その娘「お房」、その親戚の妖怪絵師、六科に惚れている盲目の女按摩。
さらには殺人狂やロリコン・食通の同心たち。
郊外の覆面半裸農家、その妻と娘、配下の忍びの面々。
気の弱い将軍お庭番、某剣術道場主、穏やかな首切り執行人。
また、歴史上の人物として将軍「吉宗」や「新井白石」なども登場します。
アニメ化はあるのか?
この作品はキャラが立っているので、アニメ化しやすい作品ではないかと感じます。
大どんでん返しのような意表を突く展開はありませんが、適度な戦闘シーンもあり、全体に楽しく爆笑しつつ見てられるでしょう。
アニメ化すれば、
一風変わった魔法系江戸日常物語
みたいな感じになるのかなと思います。
総評
本作品では、江戸期の町民の生活様式や料理・食事などが描写され、江戸の「空気感」が伝わってきます。
特に料理描写は良くて、私も助屋で注文したくなりました。
また、歴史の豆知識的な解説も多く、歴史好きにはとても楽しめると思います。
全体に笑いながら楽しく読めて、読後も数ヶ月するとまた再読したくなります。
現在、2巻まで刊行中
物語は現在(2023/6/5)2巻まで刊行されています。
両巻共にKindle Unlimitedに加入してると無料で読めます。
*RE:異世界から帰ったら江戸なのである─女天狗昔物語─1巻
*RE:異世界から帰ったら江戸なのである─女天狗昔物語─2巻
これだけ多くラノベ読んでると、こういう個性的な作品にひかれます。
が、同時に昨今のラノベ読者の勘所は押さえてるよな。
異世界・魔法・バトルシーンは定番として、経営コンサル・料理の蘊蓄とかなw
作者の他の本も読んでみましたが面白かったです。お薦めですよ(^^)v
ふむ。なんだか一風変わった作品みたいだな。