日本時間2022年6月16日、Internet Explorer(IE)のサポートが終了しました。
私の所属するWEB制作業界では、これを惜しむ声など微塵も聞こえず、皆が皆その終わりを祝ってます(^_^;)
・・・まあ、そうなるにはなるだけの経緯(苦悩の歴史)があったわけで、IE誕生から終焉までを、IEのライバル達のブラウザ列伝という形で振り返ってみたいと思います。
今回はその前編です。
目次
最初の敵「Netscape」との攻防
IEは1994年に誕生しました。
そのIEの、最初のライバルとなったブラウザは「Netscape(ネットスケープ)」です。
日本のユーザーは「ネスケ」「寝助」と呼んでました。
Netscapeの開発者は著名な「マーク・アンドリーセン」。
その前身の「Mosaic(モザイク)」以来、インターネット黎明期からブラウザ界のトップに君臨していました。
バージョン1の発表はIEと同じく1994年で、一時はシェアの9割近くを獲得していました。
私は1998年頃、職場のPCでNetscapeと出会いました。
当時、Netscapeの操舵輪のアイコンが、ネットの大海へと誘う希望の印のように思えたものです。。
第一次ブラウザ戦争
Netscapeは多くのユーザーに支持されていたものの、「IE」に押され、次第にシェアを低下させていきます。
その理由は主に3つです。
1,IEはOSにバンドルされていること
2,IEは無償であったことに対して、Netscapeは当初は有料であったこと
3,Netscapeの技術的混乱
特に「Windows機買ったら、最初からIEが付いてくる」これは大きいです。
そのためNetscape側は「IEは独占禁止法違反だ!」と訴訟を起こし反撃しました。
この戦いは激烈で「第一次ブラウザ戦争」とも呼ばれ、Netscapeの敗退に終わります。
やがて幾つかの開発上の試行錯誤を経た後に、Netscapeは2007年のバージョン9で終焉を迎えました。
その後は後継者「Firefox」に引き継がれていきます。
宿命のライバル「Firefox」登場
2004年、「Firefox」が登場。
最初は「Firebird(火鳥)」と呼ばれてました。
やがて「Firebird」の名称が法的問題を引き起こしたため、「Firefox(火狐)」に改称。
運営元は、Netscapeの資産を引き継いだ「Mozilla Foundation」です。
描画エンジンとしてNetscape以来の「Gecko(ゲッコー)」を搭載しました。
当初は順調であったものの・・
当時、私は「Firebird」の時からこれをダウンロードして使ってました。
「ネスケが復活した!」とファンの連中(反IE派)は私も含めて大喜びしていました。
やがて、先代からの因縁相手であるIEが、市場独占の気の緩みから開発が停滞したことも有り、順調にシェアを伸ばしていきます。
しかし、ノルウェー発の「Opera」や、ラスボス「Chrome」の登場により、これまた激烈な第二次ブラウザ戦争が勃発します。
第三勢力「Opera」の躍進
1997年、ノルウェー発のブラウザ「Opera(オペラ)」が登場しました。
その特徴は、軽快な動作と斬新な機能です。
このブラウザは新しい物好きな連中に支持されていたように思います。
革新的な機能を続々追加
2000年に発表された「Opera 4.0」では、世界初のタブブラウジング機能が搭載されてました。
現在では、どのブラウザでも複数のタブでサイトを開けるのが当たり前ですが、当時は1枚のウィンドウに1つのサイト表示のみが普通でした。
タブブラウジング機能を搭載した「Opera」はメチャクチャ便利で、その頃のOparaは広告付きの無料版と広告無しの有料版に分かれていたのですが、私は有料版を購入しました。
ブラウザにお金払うなんて今では考えられないことですが、それだけの価値があると思わせてくれました。
さらに、ズーム機能・マウスジェスチャー・スピードダイヤル・自動パスワード入力・ブックマークの同期機能などの革新的な機能が続々と追加されていきます。
ちなみに、Operaの日本代理店をしていたのが、あの堀江貴文さんの「ライブドア」でした。
ブラウザ三国志
当時、IE・Firefox・Operaの3つで「ブラウザ三国志」なんて呼ばれてました。
◇IE:魏(覇者専横)
◇Opera:呉(欧州の新興勢力)
◇Firefox:蜀(宿命の好敵手)
こんな感じでしょうか?
自分は火狐好きなので、どうしても蜀がFirefoxになってしまいますが(^_^;)
Operaの末路
このOperaも2013年のバージョン15にて、ブックマーク機能を全廃するという愚行をやらかし、シェアが激減、やがて2016年に日本の西の某国企業に買収されてしまいました。
斬新さを追求しすぎて自爆したようなものです。寂しい結末でした。
今でもOperaは存在しますが、買収以降は別ブラウザと見ていいでしょう。
ちなみに、一部で人気の有るブラウザ「Vivaldi(ヴィヴァルディ)」は、Operaの創設者の1人が開発したものです。
実質上、これがOperaの後継者みたいなものです。
「後編」の予告
次回「後編」では、あのラスボス「Chrome」が登場します。
第二次ブラウザ戦争で複数のモダンブラウザが台頭。
WEB標準に準拠してないIEは「レガシーブラウザ」と呼ばれ、徐々にシェアを減らしていき、最後はChromeにとどめを刺されることになります。