Adobeが、画像生成AIツール「Adobe Firefly」の一般提供を開始しました。
今回は、Fireflyを始めとする画像生成AIがWEB制作に与える影響について書きます。
目次
Adobeが「商用利用可」のお墨付きを
9月13日にFireflyが一般提供を開始するに伴って「商用利用可」を明言したのは大きいです。
商用利用可ということは、別な言い方をすると
「この画像を仕事で使っても著作権違反にはならない」
ということです。
画像生成AIは通常、ネット上から数多くの画像データを収集することにより学習を行っています。
人間が好む画像とはどういうものか?
膨大な画像データから学習します。
Fireflyが商用利用可を実現できた理由は、学習のために収集したデータは、全て権利的に問題の無い画像(Adobe Stockの画像等)を使ったからです。
他の画像生成AIの場合
一方、他の画像生成AI(Midjourney・Stable Diffusionなど)では、ここらへんがグレーのままです。
彼らは収集した画像データの出所を明らかにしていません。
(おそらくはネット上の画像をかき集めて学習しているものと推察されます)
また、例えばMidjourneyなどは「利用上のトラブルや損害について関知しない」と言っています。
権利的になんかあっても自己責任でどうぞ、ということです。
サイト制作において、これまでAIが作成した画像を使用するのが難しかったのはこういう理由です。
いくら格好良い画像であっても、著作権違反の懸念があるものは使うわけにはいきません。
せいぜいがデモサイトなどでの使用が限界でしょう。
それがAdobeのお墨付きを得て、大手をふるってサイト制作に使えるわけで、この意義は大きいと思います。
Fireflyは素材に勝てるか否か?
かと言って、WEB制作の現場において、すぐにAIによって生成された画像が実写画像を駆逐するかというと、それほど甘くはないでしょう。
例えば、サイト制作では素材画像が多用されてますが、量・種類・クオリティ共にこれを上回るのは難しいです。
無料の素材サービスなどでも、内容が豊富に揃ってます。
*写真AC
さらに有料の素材サービスはクオリティも高いです。
これを一気に凌駕するのは難しいですね。
ただ、これらの素材サービスの中にも、AI生成の画像・イラストが浸透しつつあり、
クオリティ的に遜色の無いものが並べば、使う人も徐々に増えてくるかと思います。
クライアント視点から見たAI生成素材
ここでサイト制作を発注するクライアントの観点から見てみましょう。
イラストの使用:クライアント視点
イラストは画像と違って、AIが作成したか否かは、クライアント側にはさほど忌避感は無いと思います。
要は「クオリティさえ高ければ、それで良し」となるでしょう。
画像の使用:クライアント視点
で、問題は画像です。
現状、画像に関しては、クライアント視点だと、
- 現物の実写画像
- 素材の画像
- AI生成画像
価値はこの順になると思います。
例えば企業サイトで、仕事中のオフィスの画像を載せる場合、
自社オフィスの実写画像 > それっぽい素材画像 > それっぽいAI生成画像
クオリティと値段が同一ならば、この順で使われるでしょう。
やはり、実際の画像が一番で、素材の代用がそれに継ぎ、AI生成画像はそれ以下の扱い。
これ、クライアント側の心理的な問題です。
「1」も「3」も内容が似たようなものならば、実質どっちでもいいじゃんという気もしますが、クライアントの心理としてはそうもいかんでしょうね。
当然、サイトを制作する側としては、それに右にならえとなります。
ただ、月日が経つにつれ、クライアントも「AI慣れ」してくるかとは思います。
最初は特殊な画像や普遍的な画像から
サイト制作では、AI生成画像は最初は特殊な画像、あるいは普遍的な画像、などから使われていくと思います。
特殊な画像とは、撮影が困難か不可能な画像です。
- SFっぽい画像・未来的な画像
- 歴史的事象の画像(例:昔の合戦の光景など)
など。
また、普遍的な画像とは、
- 空・海・山などの自然
- 都市・街並み
- 雑踏・群衆の後ろ姿
などです。
これらはAI生成の物と、実写・素材が大差の無い画像だと思います。
使われる範囲は徐々に拡大していく
AI生成画像は、徐々に使われる範囲が拡大していき、やがて現在の素材と同程度には使われるようにはなるでしょう。
そこに至るまでの期間は5~10年ぐらいじゃないでしょうか。
5~10年もあれば、AI技術はさらに進歩して実画像との差は無くなり、反比例して世間のAI画像への忌避感も薄らいでいくと思います。
新たな職種「プロンプト職人(?)」
かつて、ChatGPT3.5が登場した頃に「プロンプトエンジニア」なる職種が登場して、私も「マジかよ」なんて思ってました。
で、今後はAdobe Fireflyなどの画像生成AIは、イラスト作成者やサイト制作者などが片手間に使うだけではなく、それ専用の作成職種が誕生するだろうと思います。
名前は「プロンプト職人」あたりが適当でしょうか?
(*便宜的に名づけてみました)
イラスト作成者さんをよく「イラスト職人」なんて俗称で呼びますけど、それと似たような響きです(^_^;)
彼らのライバルは
◇カメラマン
◇モデル
◇イラスト作成者
ここらへんになるでしょう。
特別な画像が欲しければ、カメラマンやモデル雇うより、素材から探すより、「プロンプト職人」に発注する日が来るのかもしれませんね。
私としては、2015~2020年あたりの技術状況が一番心地良いのですよ。
デザインして、コーディングして、photoshopで画像を補正し、illustratorでバナーを作る。
これから先はどうなるのやら、どう対応すべきやら、と思いますね。。
そこは危機管理の2鉄則を応用することさ。
1,悲観的にシビアに予測し、備えて
2,楽観的に柔軟に対応する
それが難しいから困ってるんじゃないですか・・(>_<、)
そりゃそうだw
今年前半のChatGPT3.5の登場以来、何もかもが急速に変化し始めたように思うな。