今話題の「chatGPT」を中心に、AIサービスのWEB制作への影響について書きます。
「その2」「その3」では、コーディングとデザインに分けて、与える影響について書きました。
もう一つ、大きな問題があります。
それは検索エンジンの変化と、それのWEB制作への影響です。
今回はこれについて書きます。
*ほぼ主観全開で予測しています。
目次
Googleの非常事態宣言
先日、chatGPTの急激な進化に対して、Googleは危機感を持ち、全社員に対して「コード・レッド(非常事態)」を宣言したそうです。
*ChatGPTのリリースでGoogleは「コードレッド」を宣言
最初、私はこれを聞いたときには
「Googleも大げさだよなあ。ハッハッハ(^◇^) 」
みたいな感じだったのですが、自分でChatGPTをいじってみて事態の深刻さがよく分かりました。
確かに、これは検索エンジンのあり方を一変させる可能性があります。
人が検索を使う時とは、基本的に
「何かの疑問に対して回答を求める」
場合です。
検索エンジンに「疑問」を単語で入力すると、その回答に最も適してるであろうサイトURLがズラズラッと一覧で表示されます。
ところが、これがchatGPTのように、そのままダイレクトに回答文が表示されるようになり、かつ、そちらの方が「便利」となれば、そりゃ検索エンジン使う人は徐々に減っていくでしょうね。
Googleの「コード・レッド(非常事態)」宣言の意味はここにあります。
ChatGPT登場による検索利用頻度変化の調査例
ところで、ChatGPTの登場によって、実際に人々の検索エンジンの利用頻度は減ったのか否か?
また、今後はどうなるのか?
この問いに対して、限られた母数ではありますが、面白い調査結果がYoutubeに載ってました。
*ChatGPTで検索エンジン利用頻度はどうなる!? 独自調査データで現状と将来を考える
とても興味深い内容です。
ChatGPT登場からまだわずかな期間ですが、検索の使用頻度が減る人も出てきてるようです。
やがてAIツールがさらに進化すると、その影響は拡大すると思われます。
検索エンジンへの影響と対抗策
検索エンジン側でも、AIを導入することで、これに対抗する動きがあります。
それは単にAIを組み込むだけではなく、従来の検索表示形式の変化も伴うかもしれません。
GoogleのAIチャットサービス「Bard」
例えば、Googleでは「Bard」というAIチャットサービスを開発して、いずれGoogle検索へ統合することを検討してるようです。
ただ、「Bard」は3月に米国・英国にて一般公開されましたが、あまり評判はよろしくないようです。
日本では4月18日からベータテストに参加できるようになりました。
*グーグル「Bard」ついに日本公開 「ChatGPT」対抗のAIチャット
チャットサービスなので、chatGPTと同じく直接回答方式のようです。
(当面は、日本でも英語のみ対応とのことで私はまだ試していません)
さらに、Googleは「Magi」というAI搭載検索エンジンも開発しているとのこと。
*GoogleがAI搭載検索エンジンを開発するプロジェクト「Magi」を急ピッチで進めている、きっかけはSamsungか
Microsoft「Bing」にAIチャット検索機能が搭載
一方、ChatGPTに投資しているMicrosoftは、自らの検索エンジン「Bing」にAIチャット機能を追加しました。
*Microsoft Edgeに搭載、新AI検索エンジン「Bing」の使い方
*Microsoft、AI搭載の新しい「Bing」を発表 ~検索エンジンは新時代へ
これはChatGPT4.0を組み込んでいるそうです。
実際に使ってみました。
例えば
「人類が火星に有人着陸できそうなのは、いつ頃でしょうか?」
と質問すると、以下のように答えが表示されました。
下段には情報の参照元サイトが表示され、クリックすると開きます。
ChatGPTとは違い、情報の元サイトも表示することで信頼性を高めています。
検索の表示形式は今度どうなる?
今の検索の表示形式はGoogleでもBingでも共通で、検索欄に単語を入力し、その回答先としてWEBサイトのURLがズラズラッと一覧表示されます。
これが今後、chatGPTのような直接回答式のサービスに対して、今の表示形式をそのまま続けていくのか?
特に圧倒的な検索シェアを握っているGoogleは、どうするのか?
これに関しては全く予想不可能です(^_^;)
ただ一点言えるのは、世間の利用者は
『同じ無料ならば、より便利な方を使う』
ということです。
もちろん、正確性なども考慮されるでしょうが、最終的には「便利さ」が全てを押し流してしまうと思います。
AIへの対応いかんでは、Googleは表示形式の変容を余儀なくされ、築き上げてきたビジネスモデルも、大きな打撃を受けるでしょう。
Googleが築いたエコシステム
Googleは検索と広告によるエコシステムを作り上げてきました。
Google検索を使うと、検索結果の中にリスティング広告が表示されます。
さらに、一覧表示された各サイトURLをクリックすると、そのサイト内では高確率で「Googleアドセンス」の広告などが載っています。
検索して回答を得るまでの間に、何度もGoogle発の広告に遭遇するわけです。
結果、Googleの莫大な収入のうち8~9割が広告によるものです。
Googleと、検索に表示されるWEBサイト、検索を使う利用者。
このエコシステムでは3者がそれぞれウィン・ウィンの関係にあります。
- Google:正確な検索を提供する代わりに、広告による莫大な収入を得る
- WEBサイト:Googleによってアクセスや広告収入を得る。
代わりにGoogleの求めに応じてサイトを最適化する
(HTML最適化・表示速度の向上・ドメインのSSL化、等々) - 検索利用者:検索によって疑問への回答を得る。
それがWEBサイトへのアクセスにつながる。
また、広告をクリックすると、GoogleやWEBサイトの収入となる。
これ、「Google共栄圏」とでも言うべきでしょう。
今後この3者共栄のエコシステムは、AIの暴風を受けて変容する可能性があります。
その場合、それは検索の表示形式の変化から始まるでしょう。
WEB制作への影響
で、問題なのは、これを受けてWEB制作のあり方にも影響が出ることです。
例えば現状、サイト制作にあたって「検索対策(SEO)」は重要な柱の一つです。
サイトの美観やUIの重要性と同等に、いやそれ以上にサイト制作者はGoogle様に気を使い、その評価を上げることに腐心します。
ところが検索エンジンの表示が、今のようなスタイルじゃなくなれば、WEB制作のあり方が根本から変化します。
AIの進化が検索エンジンのUIに変化をもたらし、それがさらにWEB制作にも多大の影響をもたらすというわけです。
今後数年は過渡期
例えば、検索がChatGPTのように直接回答を表示する形式になれば、サイトを世間に告知する手段自体が消えるわけで、そもそもWEBサイトを作る意味が無くなります。
そこまでいかなくても、上記の「Bing」のAIチャット検索形式のような変化ですら、そうとうの激震になると思います。
アフィリエイト目的のブログなんかは半減以下になるのではないでしょうか?
おそらく、今後の数年は過渡期が続くでしょう。
検索エンジンも最適の表示方式を求めて試行錯誤すると思います。
そして、その都度、WEB制作界隈は大揺れとなるでしょう。
私にはその先がどうなるのかが全く予想できません。。
はてさて、どうなりますことやら・・。
Googleのエコシステムはどうなるんだろうな? 現状の「3者共栄圏」なんて理想的じゃないか。
Googleも1998年の登場以来、他の既存の検索エンジンやWEBサービスを破壊しながらここまで進んできたわけです。それと同じ展開ですよ。ただ、立場が逆転して今回は彼らが防衛側なんです。
因果な話しだよな。「シン:平家物語」かよ? 「盛者必衰の理をあらわす~」みたいなさ。
・・・今回の記事は、ブロガーとしては書いてて楽しかったけど、WEB制作者としては複雑な思いです(>_<)
本シリーズ、凄まじい予想ばかりで、読む側も疲れたと思います。。