さらばIE!:ブラウザ興亡史・ライバル列伝(後編)

さらばIE!:ブラウザ興亡史・ライバル列伝(後編)

IE誕生から終焉までを、IEのライバル達のブラウザ列伝という形で振り返ってみたいと思います。今回は後編。

「前編」はこちら↓

最強の敵「Chrome」登場

2008年、Googleから「Chrome」のベータ版が発表されました。
ダウンロードする人が殺到し、当初は北米限定であったにもかかわらず、翌日には世界シェアの1%に到達。

当時既にGoogleブランドは確立されており、「あのGoogleがとうとうブラウザの制覇に乗り出した」と話題になりました。

超シンプルなユーザーインターフェイス(UI)と軽さが特徴で、「いかにもGoogleっぽい」とファンは大喜びしました。

「Chromium」ファミリー

Chromeは、主にGoogleが運営するオープンソースのコードベース「Chromium(クロミウム)」を基板としています。
描画エンジンは「Blink」。

ちなみに「Chromium」を使った姉妹ブラウザは多く、
◇Edge(バージョン79.0.309.65以降)
◇Opera(バージョン15以降)
◇Vivaldi
◇Amazon Silk
◇Sleipnir
などがあります。

また、Chromiumはマルチプロセスが用いられています。

1つのタブが不具合を起こしても、そのタブのみが強制終了。
ほかのタブには影響を及ばさないのが特徴。

Chromium 勝手に日本語版:マルチプロセス・アーキテクチャー

ただ逆に、タブを開きすぎると急激に重くなるのが、この「Chromiumファミリー」全般の欠点です。

第二次ブラウザ戦争

ここに役者は勢揃いしました。
IE・Firefox・Opera・Chrome、これにMacの「Safari」を加えて、5大ブラウザ間で第二次ブラウザ戦争は戦われました。

この戦争の期間は、Chromeが登場する2008年から、Chromeのシェアが50%に達した2014年末までとするのが一般的です。

戦争のシェア別推移

第一次から第二次にかけてのブラウザ戦争を、シェア別で見てみると、

このような推移となります。

ちなみに「Safari」はMacのブラウザとして知られてますが、2007年から2010年まではWindows版もありました。

私もWindows版をインストールしたことがありますが、iTunesみたいな格好良い外観で「さすがApple!」と感じたのを覚えています。

「IE6」の不調

2001年リリースの「Internet Explorer 6(IE6)」は、同時期に発表された「Windows XP」に搭載されていました。

この「IE6」は2004年以降から、セキュリティや表示上の問題が多発しました。

この間隙を突いたのがFirefoxで、2004年から急速にシェアを伸ばしていきます。

モダンブラウザ VS レガシーブラウザ

IE6の表示上の問題は、特にWEB制作者達を悩ませました。
(古参の先輩方、当時は大変でしたね・・・)

そして2010年頃から、誰とも無く、

WEB標準の規格に準拠した「モダンブラウザ」
    VS
標準規格に準拠しない「レガシーブラウザ」

この図式で第二次ブラウザ戦争が語られるようになります。

モダンブラウザ」は、WEB標準化団体で策定された技術や仕様を尊重しているため、どのブラウザでも同じように表示。

それに対して「レガシーブラウザ」は、標準に準拠せず、独自の規格が多いため、他のブラウザとの互換性が低い。

Firefox・Opera・Chrome・Safariは「モダンブラウザ」。
対してIEは「レガシーブラウザ」である、と。

IE側の事情

IEには、IEの事情がありました。

本来なら、独自規格を脱してモダンブラウザに脱皮すべきなのでしょうが、

1,IEはWindows OSと一体化されているため、根本的な変更が難しい。
2,古いWindowsのバージョンとの互換性を維持したい。
  古いバージョンを使っているユーザーを見捨てられない。
  
このような事情がありました。

MicrosoftはOSで商売しているため、それゆえの悩みであり、責任でもありました。
しかし、現状のままではモダンブラウザ勢にじりじりとシェアを削られてしまいます。

第二次ブラウザ戦争の終結

2014年末、急成長のChromeのシェアがとうとう50%を突破し、IEの独占体制は突き崩されました。
覇者は交代し、第二次ブラウザ戦争はChromeの勝利となりました。

ここにきてMicrosoft首脳陣は、近い将来でのIEの退場と、それに代わる後継ブラウザの開発を決意します。

IEの命脈はこれで絶たれることとなりました。

後継者「Edge」の登場

2015年、Microsoftはブラウザ「Microsoft Edge」を発表。

独自の描画エンジン「EdgeHTML」を搭載。
WEB標準仕様に追従すると共に、IEに比べて軽快なブラウザを目指しました。

「Chromium」ファミリーへと転換

意気込んで制作した「Edge」ですが、当初は不調が続いたことに加えてシェアが伸び悩みました。

そこで2018年12月、MicrosoftはEdgeを独自エンジンから「Chromium」ベースに切り替えることを発表。
2020年1月、リニューアルされた新バージョンのEdgeが登場しました。

新型Edgeと、発想を切り替えたMicrosoft

新型Edgeは、Chromiumベースで「Blink」エンジンを使っており、ライバルのChromeとは姉妹ブラウザの関係となりました。

機能もChromeとほぼ同じ、拡張機能に至ってはChromeのものがそのまま使えます。

また、オープンソースのChromiumをベースとするため、開発コスト・開発時間を抑えられます。

私はこれにMicrosoftの決意を感じると共に、OSと一体化していたIEと違って、もはやブラウザを「ただのサイトを表示するためのツール」としか見ていないのだなと感じました。

寂しくもあると同時に、凄い決断だなと思いました。

IE終焉の日

こうして日本時間の2022年6月16日、IEのサポートが終わりました

最終バージョンの「11」は2013年に発表されたままで、それ以降のバージョンアップはありません。

1994年に誕生したIEは、終了となりました。

いろいろ毀誉褒貶ありつつも、20年以上も世界の第一線を走ってきたわけで、一つのソフトウェアとしては恵まれた生涯だったと言えるのではないでしょうか?

ken
かつてのIEの1強体制から、2022年現在はChromeの1強体制へと替わりました。強者必衰の理どおりに、いつかChromeも衰退する日が来るのでしょうね。
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