今話題の「chatGPT」を中心に、AIサービスのWEB制作への影響について書きます。
WEB制作は「コーディング」「デザイン」の2つの分野に大別されます。
この両面からAIの影響を予想してみます。
前回はコーディングへの影響について書きました。
今回は「その3」
WEBデザインへの影響についてです。
*ほぼ主観全開で予測しています。
目次
デザインとAI
私は、デザインはAIには不得意な分野なのかなと思ってました。
論理的思考が必要とされるコーディングと違って、感性を必要とする領域が多いからです。
ところが、最近のAIが作成する画像などを見てると、その認識は甘かったと思いました。
*【無料】PCで使える画像生成AIおすすめ3選:精度の高い画像を作るコツ
*MidjourneyをWebデザインの素材として使う方法!呪文公開。
あれはAIが、人間が心地よく感じるパターンを学習した上で作成してるのでしょう。
見事だなと思いつつも、「こいつは何でもこなすんだな」と一種の化け物じみた恐さも感じました。
「美的センス」なるフワフワした概念を、AIなりに法則性を分析して習得しているのでしょうね。
幅広い能力が必要となるWEBデザイン
さて、WEBデザインではイラストや美術・工芸品の作成とは違って、美的センスにプラスして以下2つの能力も要求されます。
- ユーザビリティ
- マーケティング(SEO含む)
必要とされる分野が幅広いです。
デザイナーはこれらのことを総合しながら、後工程のコーディングのことも考慮に入れつつ、ワイヤーフレームやデザインカンプを作成します。
結局、WEBデザイナーに必要とされる能力とは、コーダーのそれとは全く異質です。
複雑巧緻なサイト制作の場合、「デザイン」「コーディング」この両方を同一人が兼ねるのが難しいのは、そういう事情からでしょう。
AIによるWEBデザイン:現在は未熟なレベル
現在、Youtubeなどには「AIでWEBデザイン」系の動画が幾つか投稿されています。
*ChatGPTとMidjourneyで作る、WEBデザイン。
*ChatGPT×Midjourney×Canvaを使ってWebサイトデザイン制作する方法
見てて面白いのですが、
この3点から、まだまだ未熟で実用段階では無いと思いました。
現状は、ChatGPTや画像生成AIなどを、デザイナーが「便利なツール」として補助的に扱う程度でしょう。
AIによるWEBデザインツール:最初はテンプレートから
さて、WEBデザインにAIは進出可能なのか否か?
AIによる自動作成は可能か?
例えば、AIを活用したWEBデザインツールを作るとして、最初はテンプレートの活用から始まるでしょう。
そこは幾つかのノーコードツールなどと同じです。
その内容は、
こういうパターンのツールから出現するような気がします。
この場合、AIがやってるのは「テンプレートのデザインカスタマイズ」に過ぎません。
AIによるWEBデザインツール:進化の道筋
ただ、それが以下のような順で進化を遂げていくでしょう。
- 人間が、幾つかの基本要件(業種・カラー・ページ数・掲載内容、等々)を入力。
AIが、それに応じてオリジナルデザイン作成。 - 人間が、幾つかのPRポイント・ターゲット層への訴求ポイントを入力。
AIが、それに応じてオリジナルデザイン作成。 - 人間が、幾つかの自社情報・競合他社情報を入力。
AIがWEB戦略を策定し、その戦略に基づいてオリジナルデザインを作成。
結局、この順というのはWEBデザイナーの初心者さんの発展の流れと同じです。
まずはクライアントの指示に忠実に作成し、次に相手の状況をヒアリングしてデザインに反映させ、最後は様々な提案までを行っていく。
おそらく、AIによるWEBデザイン作成ツールは、この順で進化していくと思います。
実用レベルになるのはいつ?
では、それが実用化されるのはいつか?
何をもって「実用化」とするか定義の問題もありますが、
- 上記の「2」程度のレベル
- かつ、標準的なビジネスサイトのデザインを作成
このレベルと仮定しましょう。
私の予想だと「5~10年以内」で可能だと思います。
ただし、「3」ぐらいのレベルが必要ならば「10~20年」ぐらい先でしょう。
コーディングよりは遅いものの、それほど遠い未来というわけではないですね。
試金石となるのが「バナー作成」
また、WEBデザインとはちょっと違いますが、その試金石となるのが「バナー作成」などの分野だと思います。
バナー画像は様々な要素を考慮して作成する必要があり、単純に「綺麗なものを作れば良い」というような安易な作業ではありません。
また、バナーは使用サイクルが短く、短納期で大量生産されています。
いずれ作業コスト削減のために、AIが活用されるのは間違いないと思います。
現状では、AIはシンプルなものを作れる程度で、複雑巧緻なものは人の手が必要です。
優れたバナーには一定の法則性があって、
こういう複数の要素を考えつつ作成します。
で、やや乱暴な言葉にはなりますが、バナーはWEBデザインの「ミニ版」みたいな部分があります。
両者が大きく違うところは、
「後工程にコーディングが必要」
「複数ページで構成」
「レスポンシブ対応」
「SEOを考慮」
この4つの差違です。
いわばバナー作成はWEBデザインの「試金石」のような存在です。
この分野でAI活用が実用化されれば、その数年後にはWEBデザインも可能になると思います。
結局、WEBデザイナーの仕事はどうなる?
AIによるWEBデザイン制作が実用段階に至れば、デザイナーはどうなるのか?
これもコーディングと同じで、デザイナーさんの需要は減少するだろうと予想します。
コーダーさんと違うところは、やはり実用化が難しいため、実現までには若干の猶予があるということです。
それと、部分的に徐々にAIが作業工程の中に浸透していくため、これをアシスタント的に使いこなしていく必要が生じると思います。
現状、デザイナーがphotoshop・illustrator・figmaなどを使うのと同じように、これからはAIツールを使えないと仕事にならない場面が増えていくでしょう。
ただ、それも近い将来の話しで、例えば30~50年後ぐらいの未来になると、AIによる完全自動化が実現してるかもしれません。
30~50年後となると、今の20代・30代の人にとっては、人生の後半になるわけです。
この年代のWEBデザイナーには、未来を予測しつつ、賢明に舵を取ってください、としか言いようがないですね。
次回予告
AI技術の進化が、検索の表示形式や、検索のあり方を変えるのか?
これは現在のGoogleの大きな懸念材料でしょう。
そして、これに変化が生じれば、それはWEB制作のあり方にも大きく影響を与えます。
次回「その4」では、それについて書きます。
まあ、これは仕方ないことだよな。
手軽にPCさえあれば出来る仕事ほど、AIが進化すれば取って代わられる可能性が高くなるわけだ。
一時期「PC一つでリモートで仕事する」ってのが夢の働き方のようにもてはやされましたが、今思えば複雑な気もしますね(^_^;)
逆にいうと、農業等の一次産業なんてAIには代替できないしな。三次産業でも、例えば美術家などでキャンパス地に絵画を描いてる職種とかも、AIには無理だろう。
人間がAIに出来ない仕事に活路を求めるとなると、未来では案外、一次・二次産業が注目されるのかもしれませんね。
WEB制作者にとっては、いろいろ厳し目の予想となりました。。